スキンテアという言葉に聞き覚えはなくても、こんな状態の皮膚見覚えありませんか?
見るからに痛そうなこれがスキンテアにゃ
この記事はこんな方におすすめ
- スキンテアの特徴を知りたい
- スキンテアの原因を知りたい
- スキンテアを防ぎたい
管理人の豆大福餅です
病棟で褥瘡委員してます♫
この記事を読むとこんなことがわかります。
- 高齢者の皮膚の特徴がわかる
- スキンテアの予防、原因がわかる
- 対応がわかる
- 患者さんの悲しい顔や新しい傷を防げる
- 「故意」や「虐待」と誤解されないよう家族にスキンテアについて説明できる
- 観察をすれば予防ができ、異常の早期発見につながります
高齢者に関わる全ての人が頭の片隅に知っておくと役立つ大切な知識がスキンテアです٩( ‘ω’ )و
時間がない方は、目次から興味のあるところにとんでくださいね!
今日のおすすめの一冊はこれ!
スキンテアとは一時的な外力による皮膚の損傷
一時的な外力による摩擦・ずれによって、皮膚が裂けて生じる真皮深層までの損傷(部分層損傷)
褥瘡とは発生のメカニズムも異なります。語源はSKIN=皮膚、Tear=裂けると言われています
STAR分類という分類があり、カテゴリー1a〜カテゴリー3まで分類されています。かテゴリー3が一番傷が深い状態です。
カテゴリー2とカテゴリー3の大きな違いは皮弁があるかどうかです。皮弁がある方が治りが早いです
病院の場合は看護師が、在宅の場合はヘルパーさんや家族の方が見つけることが多いと思います。
これらのスキンテアは日常生活の場面で起こり、日常生活のケアで見つかることが多いからです。
発生した時の対処方法もありますが、まずスキンテアを起こさないことが大切になってきます。
高齢者の皮膚の特徴は、皮膚科学に特化した製薬会社 マルホ に詳しく載ってました。ぜひ参考にしてください
高齢者の皮膚の特徴
高齢者の皮膚は、脆弱で傷つきやすいです。年齢とともに水分が失われやすい特徴のある高齢者の皮膚は、皮膚のバリア機能である『角質層』が薄くなっています。
ハリのあるすべすべ素肌から、ざらざらした素肌になっていきます。特に腕や足の部分は乾燥しやすいです。
さらに、心不全、栄養状態の悪化により『浮腫みやすい』という特徴もあります。
乾燥しやすく、肌が荒れやすい、それによりさらに乾燥が進むという悪循環となりやすいです。
栄養状態が悪ければなかなか傷は治りません。
この高齢者の肌は脆弱で、傷つきやすいという特徴を知ることがスキンテアの予防の第一歩です。
スキンテアの原因
スキンテアが起こりやすい環境
スキンテアが起こりやすい環境はどんなものだと思いますか?(*´꒳`*)
- 入浴、清拭などの清潔ケア時
- 転倒したとき
- 車椅子移動の介助時
- ベッド柵にぶつけたとき
- 転倒した時
- テープを剥がそうとした時
これらの皮膚が接触する機会が多い環境では特に注意をしましょう
特に介助時や入浴、清潔ケア時など無防備な状況で皮膚がぶつかって剥がれたり裂けてしまったりします。また、絆創膏を剥がすときに一緒に皮膚が剥離してしまうケースもあります。
麻痺があり、行動に制限があるときのケアは注意をする必要があります。
スキンテアの起こりやすい身体状況
予防するためにはどれだけリスクの高い人かを把握して関わる必要があります。
アセスメントする
- 移動手段
- 移動への介助の有無
- 身体状況と、患者さんの認識の差がないか
- 転倒歴、転落歴はあるか。骨折の既往はあるか
- 介護度(要支援、要介護)
- 栄養状態
- 現在の治療
- モニターや酸素、ルートなどの医療機器
- 既往歴
- 腫瘍により抗がん剤や放射線治療を行なっているか(抗がん剤の副作用、放射線治療の副作用の影響)
- 心不全、脳梗塞、脳出血などの既往(薬剤に関連してきます)
- 透析患者、腎疾患(アルブミンの低値、浮腫を起こしやすい)
- 利尿薬やステロイド(長期の使用で皮膚が薄くなっています)
- 抗凝固薬や抗血栓症薬など(皮下出血が起こりやすくリスクが高いです)
- 過去にスキンテアがないか
- 皮下出血
- 乾燥の有無
- 水疱、日焼け
総合的にリスクをアセスメントすることが大切です
スキンテアを予防するケア
リスクをアセスメントしたら、次は予防をしていきましょう
スキンテアの予防
日々のケアで当たり前のようにしていることです。
清潔ケア時、排泄ケア時に全身を観察する。引き摺らない、掴まない、引っ張らない。
ケア時に全身の観察をしているかたがほとんどでしょう。スキンテアは一時的な強い外力によって生じます。
気をつけていても故意でなく起こることもあります。
立ち上がろうとした際、バランスを崩し咄嗟に上から腕を掴み、その外力でスキンテアができてしまった。
これは実際に起こった症例であったことです。
虐待と間違えられないように予防する
保湿剤を使用する
一番の予防は保湿剤を使用することです。傷つきやすい皮膚を傷つきにくい皮膚にします。(保湿剤の使用で50%発生が減ったとの研究があります)
おすすめの薬剤は、白色ワセリン、ヘパリンクリーム、ヒルロイドローションなどの医薬品だけでなく市販のニベアやザーネクリーム、キュレルローションなども在宅では使いやすいと思います。
洋服などで保護をする
皮膚が直接当たらないようにするのが目的です。
- 長袖、長ズボンを選択
- 上肢:肘までの手袋、アームカバー
- 下肢:膝丈靴下、レッグカバー
家族さんに靴下を持ってきてもらうときに、「ゴムのキツくない靴下」を依頼するだけでも浮腫は軽減できます。
これらは直接皮膚に物が当たらないだけでなく、保湿・保温の面からでも有効です
環境調整
ベッド柵や車椅子,テーブルなどに転倒した時や認知症などで周囲への注意が低下していると知らずにぶつけてしまう事も考えられます。
周囲の環境整備は看護の基本です。
これらの対策もすぐできるので、ぜひ取り組んでみてくださいね( ^ω^ )
▶︎柵カバー:ぶつけないよう柵を保護する
▶︎車椅子移乗時:靴下と靴を着用、足を守るためレッグカバーなどを活用
*フットレストにあたって足を損傷することが多いので、外せるフットレストは外しておく
スキンテアの観察項目
傷つけようとしてケアをする人はいません。でも、高齢者の皮膚は気をつけていてもリスクが高くスキンテアを起こしやすいのが実情です。
このスキンテアへの理解は徐々に深まってきました。
しかし大切な家族が見たら「看護師、介護士が怪我させた」と誤解をされることもあり、不信感につながることもあります。
入院時にスキンテアの可能性をお伝えし、保湿や衣服などできる対策を協力してもらうことで理解につながります
ケアのポイント
支えるときは優しく、引っ張らない
腕を支えるときは下から支える
リスクのある人として関わる
相手を大切に思い、ケアする時の対応は丁寧に行われます。
業務が忙しく、看護師のペースで焦って仕事をすると、思っているより動作が雑になっています。その気持ちは相手にも必ず伝わっています。
自分の心に余裕がないと感じる時もあると思います。この記事もぜひ読んでみてください
看護のポイント
このことを知っていましたか?採血後のテープ、処置の時のテープなど病院では医療用テープは常に身近にあります。
テープ以外の固定方法がないかを検討し,必要時には被膜剤を使用してから貼付し,剝離は剝離剤を使用しながらゆっくりとテープを反転させる。
不必要なテープを貼りっぱなしにしないように心がけましょう。
皮膚の弱い方には、「皮膚に優しいテープ」も発売されています。
医療用テープは思っているよりも粘着力が高く薄い皮膚ではテープにくっついて、一緒に剥がれてしまいます。
全身状態の管理として、低栄養の予防・脱水予防の看護も大切です(*´꒳`*)
起こった時の対処法
起こらないように予防しても、起こってしまった時は早く治るように処置を行いましょう
そして、起こった原因を考え再発予防に努めましょう!!
病院によって対応は異なるかもしれないので、自施設の対応を前提にしてくださいね。
発見時
- 止血し、生食(または微温湯)で洗浄:基本的には石鹸は不要
- STAR分類に基づき評価
- 処置をする被覆剤や軟膏を選択する:大きさや浸出液の量で選択
- 皮弁の有無を判断:必要時SSテープ(ステリストリプトテープ)使用する
皮弁がある時は、皮弁をできるだけ元の位置に戻します。皮弁がない時は被覆剤を使用し湿潤環境を保ち外部からの感染を防ぎます
被覆材使用時
使用被覆剤:アクアセル,ハイドロサイト
*病院によって使用している医療材料は違うと思うので医師の指示のもと使用してください
●受傷直後で明らかに感染や出血がないときは、上皮化を早めるために閉鎖環境を提供できる、シリコン製の創傷被覆材で閉鎖する。
●透明でない被覆材では、誤った方向に剥がさないよう、被覆材に矢印で剥がす方向を記すとよい。日付も書く(浸出液がなければ1週間〜10日そのまま)
皮弁と反対方向に剥がさないようにするために剥がす方向に矢印を書く
STAR分類カテゴリー:2b〜3の時に使用されることが多い
スキンテアの処置
ポイント
よくある処置で注意点。
それはただ一つ。
ガーゼをそのまま軟膏をつけずに貼ることだけは絶対にしない
ということです。そのま傷口にガーゼをつけると出血が乾燥し、ガーゼにくっついてしまうからです。
軟膏は多いかなと思うくらいたっぷりつけましょう。
実際に起こった事例
最後に実際によくあるけれど、起こると悲しい事例を見ていきましょう。
- Aさん 80代男性
車椅子には介助で移乗し、脳梗塞の既往がある。認知症があり周囲への注意力が低い
ある夜、巡視をしていると布団に血がついている。よく見ると柵手をぶつけ出血し、スキンテアを起こした様子。
夜間であったため生食で洗浄し、皮弁があったのでSSテープを貼付。そのままガーゼを覆い保護をした。
翌日、創部の確認をしようとガーゼを濡らしながら剥がすが出血によりくっついていた。
ガーゼを剥がしたときには皮弁がなくなっていた。
どうしたら防げたでしょうか?
まず、皮下出血がありスキンテアのリスクが高いことがわかると思います。
そして、発見時には皮弁がありますね。
この皮弁を損なわないよう治したいですし、柵にカバーつけていたら防げたかもしれません。
<注意>これらの内容は参考に覚えておいてほしいですが、最終的な治療は一人一人症状や傷の程度が違うので、医師や看護師の指示のもと判断してください
在宅での場合
訪問看護を利用している場合:訪問看護の指示に従う
利用していない場合や広範囲のスキンテアの場合:医師の診察を受ける
*在宅でのスキンテアの対処はかかりつけ医の指示に従ってください
- 自宅での対応に迷ったり、すぐ処置したい場合はどうすればいいの?
-
応急処置として水道で優しく洗い、自宅にあるワセリンやアズノールなどの薬剤をたっぷりつけガーゼをすることもできます。その際ガーゼを止めるのにテープを貼ると、そのテープによりスキンテアが起こることもあるので包帯やネットを使用しましょう
- 軟膏と塗らずにガーゼをするとどうなるの?
-
ガーゼを剥がす際皮膚にくっついて周りの正常な皮膚も損傷してしまいます。皮弁があっても破いてしまい治るのが遅くなります
スキンテアは予防とケアが大切
誰もがおこる可能性のある「スキンテア」だからこそ、起こさないような予防が大切です。
スキンテアを予防するために今日から早速行動!
- 高齢者の皮膚の特徴は脆弱で疾患や薬、加齢による変化でスキンテアが起こりやすい
- スキンテアの予防には保湿、環境調整、ケアが大切
- スキンテアが起こったときには早く治せるよう適切な処置を行う
- 家族にも協力してもらい、家族指導をすることでスキンテアの理解と予防の継続につながる
- スキンテアのリスクが高いことをスタッフで共有。必要時コメディカルスタッフにも情報を共有する
もっと詳しく知りたいと思った方はこの本も参考になると思います。
これからも患者さん、看護師を守るための情報をお伝えしていくにゃ
仕事を好きになれば
人生はもっと楽しい
記事を見ていただき、ありがとうございました!!
他にもこんな記事を書いているのでまた遊びにきてくださいね♫
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